書評
『伊藤計劃記録 I』を読んだ。読んだ理由は、僕が彼の『虐殺器官』という小説を読み(もはや日本において語り継がれる伝説的なSF小説だが)、どうやったらこんな物語を書けるのか不思議に思ったからだ。彼が文章を書く時、物語を描いていく時に、その源流に…
森博嗣の文体は乾いている。熱っぽくも湿っぽくもない。ただひたすらに冷静かつ簡潔で美しい。そして論理的かつ明示的でユーモアもある。最近、僕の書くテキストも森博嗣の文章を手本にしたいと考えている。 森は、もともと名古屋大学工学部建築学科の材料工…
はじめに 日本語で読むことができる現代美術史の概説書は少ない。針生一郎による『戦後美術盛衰史』や千葉茂夫による『現代美術逸脱史』など日本の戦後美術に関する書籍は何冊かあるが、欧米諸国やアジアの動向も踏まえた包括的な現代美術史の資料には乏しい…