伊澤の牧場〜アンチフォーム交友録〜

行き場のない言葉達を放牧しています。勝手に書く。

流されていくだけ

自分1人で何かを決めたられたことがない。

でも、やりたくないことだけははっきりしているから、そこを通らないように流されていったら、いつのまにか予想もしなかった遠い場所まで来てしまった感覚がある。

美術なんて1番興味なかったのに流れ着いてしまったし。

飽きっぽい子供だったが、飽きっぽいところだけは帰納法的な思考が必要とされる「キュレーション」という営為に向いているとは思う。雑食なところが功を奏した。

一つのことにのめり込めたら良かったが、そうはならなかった。作曲家にも建築家にも医者にもなりたかった(し)まだなれるとどこかで思っている自分がいる。あ、でも全部専門職だ。僕は専門職以外につくことを昔から全く考えていなかった。

いい加減なワナビーだ。

こんな流浪人の自分でも、公立美術館の学芸員として正規の職を得ることとなった。何かの冗談かと思ったが、本当のようだ。

非正規(非常勤)職員ではなくなることに安堵するとともに、一目散に逃げ出したくなるほどの恐怖感もおぼえた。
まったく天邪鬼な身体だ。
でもそれが自分なのだ。

何かに憧れ続けている人生の方が幸せかもしれないが、身体の拒絶反応を飼い慣らしながら生きるのが自分の人生を生きるということかもしれない。

そして、「ここではないどこか」を身体のどこかに組み込んで虚構の靴を履けば、現実だって軽やかに歩けるはずだ。

美術館は万人にとって現実を軽やかに歩くための靴を得るための場所なのかもしれない。

んなこたどうでもういいから、誰か俺をもっと遠い場所に連れて行ってくれ!