伊澤の牧場〜アンチフォーム交友録〜

行き場のない言葉達を放牧しています。勝手に書く。

2023-01-01から1年間の記事一覧

話すテンポが違うということ

「気が合う」と他者に対して判断する際に、何が基準になるのだろうか? 自分にとって、話すテンポが全く違う人間が同じ空間にいることは、少なからず負荷がかかる要因になる。ここで言う「テンポ」は、〈発話の時間的な長さ〉のことなんだけど、僕は比較的短…

ダニエル・ホール「それはそれであるということ?」展を見ての感想

少し前になるが、11/26にJUNGLE GYMという東十条駅から徒歩で行ける住宅街の最中にある場所で展覧会を見た。そのことを少し書く。 正直行って、この展覧会に入った初見の人間は、アレナスの著書よろしく「なぜこれがアートなの?」と当惑するに違いない。 た…

青木淳退任記念展「雲と息つぎ ―テンポラリーなリノベーションとしての展覧会 番外編―」

学生時代の友人である栗田くんは、かつてこう言った。「青木淳は日本の建築家の中で唯一批評をするに値する建築家である」と。 栗田くんは、石上事務所インターンの生き残りで、建築史も美術史もはたまた音楽についても驚くべき量の知識量を持っていた畏友で…

ブロードウェイミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』〜ストーリーは単調だがエンタメとしては最高〜

ブロードウェイミュージカル『ウエスト・サイド・ストーリー』を見た。 ストーリーは一言で言えば、1950年代ニューヨーク版『ロミオとジュリエット』だ。 ヨーロッパ系移民の「ジェッツ」とプエルトリコ系移民の「シャークス」の対立が激化する中、「ジェッ…

「Neuron 」Aaron Lam Kwok-yam とArt Center Ongoingでのほろ酔いだべり

吉祥寺のArt Center Ongoingにて「Neuron」という展示を見た。発光するオブジェと室内を循環するウィスキーによってインスタレーションとして面白い空間になっていたが、おそらく、この場所でしか実現し得なかったものだろう。 オンゴーイングの外観は、およ…

稀代のSF作家の物語理論、あるいは闘病記〜『伊藤計劃記録 I』

『伊藤計劃記録 I』を読んだ。読んだ理由は、僕が彼の『虐殺器官』という小説を読み(もはや日本において語り継がれる伝説的なSF小説だが)、どうやったらこんな物語を書けるのか不思議に思ったからだ。彼が文章を書く時、物語を描いていく時に、その源流に…

何度目かの帰省くらい大目に見てよ

昨日茨城の実家に帰ってきた。採用試験のためだ。フィールド調査が必要になるなと思い、少し街歩きをする。今の仕事は意外に歩くことが多い。院生の頃より歩く距離は増えたかもしれない。 何度目かの帰省になる。僕が下関に赴任して一年が経とうとしている。…